第25章 恋バナ
ドアを開いて、中に進むと、驚いた顔をしたエマが俺のことをずっと見ていた。
すると、俺に向かって少しキレ気味に言葉を投げ捨てる。
「なんで…なんで、来たの」
「そりゃな、俺は泣いてる女性を1人にしておかない主義なんで。…だって、俺、紳士だぜ?」
「そういうのいらない。…テツロウには好きな人が出来たんだから、私はもう用済みでしょ。」
用済み、か。
俺の中では、こいつのこと結構大切にしてきた方だと思うんだけどな。
実際、他の彼女だったヤツらなんて、恋人と言いながら、ほぼセフレ扱いだ。
その割にエマには、一緒に出かけてみたり、したんだけど。
「俺さ、別にお前のことが嫌いとか思って別れたわけじゃねぇよ?まぁ、知ってると思うけど。」
「それだったら、なによ。」
俺はエマの隣に腰をかけながら言う。
「お前との関係は、友達に下がっちまうけど、これからも仲良くしようよ。正直、別れたけどお前と気まずくなりたくねぇし。…こんなの、自分勝手だけどな。」
「ありがとう、嬉しいよ」
エマはそう言うと、俺に笑顔を向けてくれた。
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