第25章 恋バナ
俺がエマと話していると、タイミング悪く、綾菜と夜久が入ってきた。
寄りにもよって綾菜かよ…。
マジ、最悪。
俺がほんの一瞬エマから視線を外すと、その一瞬を見逃さなかったエマは、俺の唇と自分の唇を触れ合わせた。
「なぁヤメロっつってんダロ?いい加減迷惑だわ。」
…本当にめんどくせぇな。
俺は、異様に執着してくるやつは嫌いなんだよ。
「サイテー男!女たらし!…テツロウ…いや、アンタにはウンザリした」
エマは俺にそう言い放って、逃げるように視聴覚室をあとにした。
頭が混乱していた俺は、夜久がなんか言ってたけど、それを無視して綾菜を呼んだ。
すると、キスをする。
馬鹿だ、俺。なんで自分から嫌われようとしてるんだよ。
淡々としている綾菜の目を見ると、何故か落ち着いてきて。
「ごめんな?ホント、ごめん。」
「私は平気です。黒尾先輩は自分の心配でもしたら?
エマさんにキスされてから、ずっと悲しそう。…だから、私にキスしたんでしょ?」
綾菜のこんな口調を聞くのは初めてで。
俺より俺のこと知ってるな、とか思いながら、綾菜を眺めていた。
すると、綾菜は時計を見て何かを言うと、教室へと戻って行った。