第24章 安心、好き、恋
「そいつから手を離せ」
目の前の光景は、まだ始まる前だったから、少し安心した。
だから、暴力に走るわけでもなく、できるだけ冷静に目の前の男に言った。
「今から彼女とスるんだよ。コイツ、変態だからさ外でヤるの好きなんだよね」
そんな言葉を聞きながら、顔を見るのは男ではなく、綾菜の方。
目から涙を溢れさせて、唇から血が出てる。
「オニイサン、駅長室、行きたい?」
「は?馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ。ここでやるのがダメだったら、ホテル行けばいいんだろ?ほら、行くぞ」
そう言って、綾菜の手を思い切り握って、引っ張っていた。
…あー、めんどくせぇ男だな。
俺はそう思いながら声を出そうとすると、綾菜が声をだす。
「やめて、離して。」
震える声。綾菜がそんなこと言えるようになったなんて…成長した。
とか、思ったけど、男は綾菜のその言動に腹が立ったのか、手をあげようとしている。
「嫌がってんだろ、やめろよ。」
綾菜を叩こうとした手を思い切り掴んで、言った。
「綾菜、行くよ。」
「うん」
綾菜を守るようにトイレを出る。
にしても、ここからどうすりゃいいんだ。