第24章 安心、好き、恋
「テツロウ、ってさ、なんだかんだ言って、別れたあとも、いつでも笑いながら話しかけてくれるんだよね。だから、テツロウは私との恋を終わりにしても、私はテツロウのことを好きになったわけよ。」
「優しい、ですからね。」
「優しすぎるところがたまにムカつくけどね(笑)」
エマさんは、クロのことが好きなんだ。
きっと、そう。
だって、クロの話をしているエマさんの表情は、笑ってたり、困ってたり、悲しそうだったり。
ものすごくたくさんの表情がある。
「あ、電車来たね。じゃあ。部活、頑張って」
「ありがとうございます。」
頭を下げると、少し駆け足で電車に乗り込んだ。
エマさんは、友達を待つようで、まだ電車には乗らない。だから、電車は1人で乗るわけで…。
少し怖いな、とか思いつつ右下を見ると、見覚えのある靴。
あ、…れ?
これ、クロと同じ靴?
もしかして…。
そんな期待を抱いて、相手の顔を見るため、視線を上にずらした。