第24章 安心、好き、恋
「綾菜ちゃんが、テツロウのことこのままずっと放っておいたら、私が奪うよ?」
…これは、どういう事だ…?
エマさんは、私とクロがあまりいい状況じゃないのを知っていて、だから、私がこのままクロのことを放置していたら、エマさんがクロとよりを戻す、ということでいいのだろうか?
「それは、困ります」
クロがエマさんのことを好き、ってなったら別に私は応援する。だけど、奪う、ということは、クロはまだ私を好きって認識して、いいんだよね?
だから、それは困る。
「前、さ、偶然テツロウと会ったの。道端でバッタリと。その時のテツロウの顔はマジ忘れられない程酷くてさ、なんて言うのか…瞳が輝いてなかった、って言うのかな?だから、少しでも元気になって欲しくて、エッチしよって、テツロウを誘ったの」
…そんなことが、あったんだ。
でも、仕方ないよね。クロ、性欲強いのに、全くそういった行為はやらなかった。
「そしたらさ、酷いんだよ?だって、テツロウはせっかく助けようとした私に向かって、綾菜以外の女とか抱ける気がしない、とか、綾菜じゃなきゃ愛を感じられないってキモチよくなれないって、言ったんだよ?」
正直、私的にはクロの気持ちを知れて嬉しいけど、ここで素直に、私は嬉しいです、なんて言ったらエマさんが可哀想だ。