第24章 安心、好き、恋
冬休み終了まで、あと3日。
この間、クロと会話なんか1回もしていない。
そもそも、奇跡なほどにすれ違いすらしていない。
同じ電車に乗っているはずなのに、電車で同じ車両になることもなし。
体育館の前を通っても、ロードワークをしているらしく、体育館を覗いても、彼の姿は見えない。
そんなことを考えながら、電車を待っていると、肩をポンポンと叩かれた。
…なにこれ、デジャヴるんだけど…。
「なんですか、エマさん」
だから、振り返らずに言うと、やっぱりそこに居たのはエマさんだったらしく、ものすごく笑顔で、私の前に回り込んできた。
「あったり〜!よくわかったね」
「で、なんか用ですか?」
私に話しかけてくるなんて、よっぽどの事がなければありえないだろう。
私はそう思って、目の前にいる彼女に問いかけた。
「んー…特に用はないんだけど、ひとつ綾菜ちゃんに言いたいことがあるんだ」
「なんですか」
きっと、大したことではないだろう、と思ったから、特に興味を示さず聞いてみたけど、エマさんの顔からは笑顔が消えたから、大事な話だったのか?…と、少し考えてみたけど、よく分からない。
だから、私はエマさんの次の言葉を待っていた。