第22章 信頼
「そう言えばさ、クロ」
「なに?」
…聞いていいことなのか分からないけど、きっとクロはちゃんと考えてくれると思うから、聞いてみる。
「私のこと、なんで疑わなかったの?…私はクロ以外の人で感じてるって、なんで思わなかったの?」
「なんでも何も、疑う必要がなくね?」
…え?…疑う必要がない?
どういうことだろうか。…クロの考えていることがわからない。
「だってアイツらに犯されて嬉しそうじゃなかったし、むしろスゲー苦しそうだった。…疑うも何も、あのバカたちに正直、殺意が湧いた。」
「私でも、気持ちいって言った。…言わされたんだけど、正直自分にうんざりしたんだよ。クロ以外のを受け止めて気持ちいって。…嘘でも抵抗するべきだった。…本当にごめんなさい。」
…こんな話し、する必要ないのに、なんでしたんだろうな…。…本当に馬鹿だよ、わたし。
「あのな、綾菜。…俺は綾菜のこと信頼してる。だから、安心して俺に頼って。嫌われるとか、そんなこと考える必要ねぇからな?」
「うん、ありがとう。…そろそろ、帰る?」
「だなー、んじゃ、行くか」
クロはそう言うと、残っている缶コーヒーを一気に飲み干した。
…それだけでもかっこいいだなんて…!