第22章 信頼
この次の日に、母さんが自殺した、ということをおばあちゃんから聞かされた。
昨日までは普段通りの母さんだった。
ちゃんと笑っていたし、いっぱい喋っていた。
だけど、俺らをここの家に預けた、と言うことは最初からそのつもりがあったということも分かる。
もう、何が何だかわかんねぇ。
死んだら、母さんに会えるのか?
でも、そんなことしたら妹はどうする?
母さんも、父さんも、俺もいなくなったら、守ってくれる人がいない。
おばあちゃんとおじいちゃんは、あんまり頼りにならないから。
あんた達のせいでって、1日に何回聞かされているのだろう。
…だけど、他に住ませてもらえる家もないし、普段は別に嫌な人ではない。
…嫌味とか多いけど。
俺はそんなおばあちゃんとおじいちゃんを説得して、ここの家に引っ越した。
妹は今どこにいるのか分からない。
…俺は最後まで、母さんも妹も助けられなかった。
あの日、おばあちゃんの家に行かなかったら、とか妹を置いて家を出るな、とか色々考えてしまう。
そんな俺が1番頭から離れない言葉は、おばあちゃんに言われた『この家を出て言ったら二度とここの敷地に入ってこないで、お金だけ振り込むからこれからは一人で生きてきな。もう、アンタが頼れる人はいないだろ』ということば。
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