第22章 信頼
クロは普通の人の何倍も責任感が強い。
それは多分、クロが家庭から受けた影響のせいだと思った。
責任感が強いのは決して悪いことではない。
だけどそんなクロは、頼り方を分かっていない。
「クロ、些細なことでも悩みとか辛かったこととか相談してね。…私、解決できる自信はないけど話を聞かせてもらうことはできるから。」
まずは小さなことからでも、頼っていくことが大切だと思う。だって、最初は頼り方が分からないと何も出来ないでしょう。
「綾菜、オレ今でも辛い……妹に、会いたい」
「もしかしたらものすごく近くに住んでるかもしれないよ?探そうよ、きっと光太郎も協力してくれる。」
クロの声は震えていた。
私も、いつもいつもクロに頼っていた。ものすごく頼りすぎていた。
だけど、私も頼られたい。
「クロ、あなたは絶対1人じゃないよ」
「うん、ありがとう。俺思ったんだよね。誰に裏切られても、誰に嫌われても、綾菜がいてくれればいいや。」
クロの言葉は、たしかに嬉しいけど、なにか引っかかるような…。
「もちろん私はクロのそばにいるけど、私以外にもいるでしょ?…例えば研磨とか、夜久先輩とかリエーフくんとか。…あと、光太郎も」
クロは喋ろうとしない。…だから、私が続けて喋った。
「一人で生きていけるわけなんてないんだから。…そんなに自分を責めないで。」
私はクロを絶対1人にさせないからね。