第22章 信頼
「綾菜…!!」
私の耳に聞こえてきた声は、通話越しではないクロの声。
クロが来てるにも関わらず、男達はその行為をやめようとはしない。
「クロ…たす、…けて…」
思わずポロッと言ってしまった。咳き込み、泣きながら。
そんなことをしてしまったから、やっぱり男達を怒らせてしまったのだろう、男達は私のことを蹴ったり、殴ったり。
そんな私を見てクロは、軽蔑する訳でもなくほかの男を殴るわけでもなく、ただ私の横まで走ってきてくれる。
「俺が来てまで続ける気?度胸あるねぇ君たち。とりあえずお前ら訴えるからな。先生にも、警察にも。」
「は?そんなことしたらネットで写真ばら撒くからな」
写真をばら撒かれる…。
なんで私はいつもこうなんだろう。
…私って生きてる価値ないな。人間以下だもんね。
…なんかもう、どうでもいいや。
目が覚めると保健室のベットに寝かされていた。
私の横にはクロが座っている。
目が赤くなっているから、泣いていたのだろうか?
…少しでも、私のことを心配してくれたのかな。
そう言えば、アレからどうなったんだろう。
もう、あのあとの記憶はなかった。
あれから何があったのかも、男達がどこに行ったのかも分からない。
…別に、知りたい訳では無いけど。
だけど、クロがずっと隣にいてくれたってことは、なんとなくわかった。