第21章 思いを込めて。
蒸しタオルで体を拭き、とりあえず俺の服を着させていた。
「綾菜、ごめんね。着替え木兎が届けてくれるって言ってたからもうちょっと待ってな」
「うん、ありがとう」
声枯れちゃってんな…。
まぁ、俺のせいなんだけど…。…あんなに声出したらしょうがないよね。
「あ、そうだ。今日泊まる?」
「いいの?…私の家はいいって言うと思うけど…。」
「いいよ。…実はさっき木兎に許可もらっちゃった」
無理って言われたら着替えさせて、少しゆっくりしたら送るつもりだったし。
「今日お泊まりさせていただきます!」
今日のこいつキャラブレッブレだねぇ(笑)
可愛いからいいけど。
「じゃあ気替えが届いたら風呂入ろうな」
俺がそう言うと、綾菜はげぇっと、した表情を見せた。
「なに?別に一緒に入らなくてもいいよ?めっちゃつかれさせちゃったし」
俺がそう言うと、ふるふると首を振って話ずらそうに俺に言った。
「ち、…ちがうの。…逆に一緒にお風呂入ってほしい」
え、まさかの!?
「それでお願いがあって…。動くの辛いからお風呂まで運んでくれるかな?…あと、体洗ってほしい…デス。お願いします…」
「全然いいよ。むしろウェルカム」
なんて馬鹿なことを言っても、綾菜は俺のことを叩く訳でもなく、ツッコミを入れる訳でもなく、ただ微笑んだだけだった。