第21章 思いを込めて。
「あっ、ごめんなさい…。」
「いや、別に平気だけど。…なんかあった?」
「なんもないよ、ごめんね。クロから離れたくなかったのかな?あはは」
自分でもよく分からない。
クロは心配そうに私の頭を撫でると飲み物を取りに行った。
…にしてもなぁ、なにをしようか…。全く考えてなかったよ。
光太郎に聞いてみよっかな
……ダメだ、どうせ馬鹿なことを言うに違いない。
でも、そんな馬鹿なことやってもいいかもしれない。
確かあの白い紙袋は、文化祭のときにクロが持っていたやつだよね。
私はそう思うと、紙袋の元へ急ぎ中を覗いた。
…やっぱり、そうだ。
私はアリスのコスプレを手に取ると、今着ている服を脱いで、クロが戻ってくるまでに着替えた。
たしか光太郎がふざけて私に赤い縄を持たせていたような…。
そう思うと今度はカバンの中をあさり縄を取り出すと、手首に頑張って巻き付けた。