第18章 密着
クロと体が密着している部分が暑い。
きっと、夏の日差しのせいだろう。
……そう…だよ、ね?
「綾菜、まっすぐ走ってここから逃げて。ここにいたら、危ない」
ここから、まっすぐ前に走る。
それだけのことなのに、何故か足が動かない。
「早く行けよ…。もう少しで誰かが来る」
台詞としてはかっこいいけど、別に今やっていることは子供の遊びで、決してかっこよくはない。
そんなことを考えていると、おでこにひとつ、キスをされる。
「俺のパワー入れといたから。…ガンバって」
私はクロのその言葉を耳に入れると、まっすぐ走る。