第17章 きす
「そんなこと言う口は塞いじゃいマース」
なんて、冗談交じりに言うと、丁度後ろに電柱があったので電柱を壁にして、キスをした。
ただの軽いキス。
…だって、深いのしたら綾菜、腰抜けちゃうし。
なんて、そんなの言い訳で。
正直、俺もすげー緊張してるから。
ヘタレって言ってもいいよ。本当のことだし。
なんて、くだらねぇこと考えてると、綾菜は頬を赤く染めて俺を見つめてくる。
だから、少しでもカッコつけたいという、俺の気持ちが緊張を上回る。
「ね?身長高いとキスしやすいでしょ?
しかも、綾菜最近ちゃんと笑えてるじゃん。
だから、そんな悲しいこと、言うなよ。」
…なんて、ちょっとカッコづけちゃったけど…。
俺の顔は自分でもわかるぐらい、赤い…と思う。