第8章 決意
「あ…」
「おぉ!」
「起きたー!」
『よかった…』
どのくらい経っただろうか。ゆっくりと目を開けた光彦に一同で喜んでいると、彼は現状を把握したのか耳まで真っ赤に染め上げている。
その姿に頬が緩むが浮かれてばかりもいられないのだと気を引き締めると、ごそごそと何やらコナンが荷物をいじっている。
どうやら届く筈のケーキの伝票に細工をするらしい…確かに伝票なら受領証明書に写らなければ問題はないだろうと手元を覗き込む。
『(工藤様方…成る程)』
この伝票は博士の元ではなく沖矢の元へいくのかと一人納得をする。
安室へのメッセージは届いたのかすら分からないが、この伝票は確実に沖矢へ渡る。そして彼ならば恐らく…。
と、そこまで考えてはっと辺りを見渡す。明らかに配置の異なった荷物の数々に急いで一つずつ直していく。
「葵?なにしてんだ?」
「バカね。分からないの?貴方が動かした荷物を元通りにしてくれてるんでしょ!」
「あー、悪いな」
『大丈夫だよ!任せて!』
しかし後4つというところで扉が開く音が聞こえ奥へ身を潜め、バタンと閉められたことを確認してまた修正を開始した。
漸く全てが終わった頃再び扉が開き一つの小さな箱が投げ入れられた。
走りよったコナンが箱を手に取り躊躇なく包装紙を破り捨てていくと中に入っていたのは…。
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