第7章 伊豆へ!
「この子だよ。第一発見者!」
「彼女が…」
「昼間、テニスコートで桃園琴音さんが飛ばしたラケットを頭に受けて気絶してしまって…。医者に診てもらった後あの部屋で休んでいたんです。リビングはクーラーの調子が悪かったので」
「しかし、彼処もクーラー効いてませんでしたけど…」
安室の説明に疑問を抱き此方を見る横溝に、寝る前と後のことや室内の状況を訥々と話し始める。
終わりに近づくにつれ険しくなる二人の探偵の顔は俯くことで視界から外した。
「血に触ったの?」
『…うん。コナン君と透くんならそうするって思ったの…』
その硬い声に流石に怒られるかと目を閉じるが、暗闇に浮かぶ濁った瞳に跳ねる様に安室に顔を向けた。
その縋る様な瞳に、僅かに目を見開き眉を寄せた安室は次いで柔らかい笑みを浮かべると少し大袈裟に息を吐く。つられて息を吐き出すと、強張った体から力が抜けるのに気付いたのか軽く頷いた。
「とりあえず毛利先生の所へ行きませんか?先生なら何かわかるかも知れませんし」
「確かに!行きましょう!」
「ボクも行く!」
「蘭さん、園子さん。すみませんがどちらか一緒に来ていだけませんか?お二人しか知らないことがあるかも知れませんから」
「それならわたしが…」
「蘭はこの子の側にいてあげて?安室さん、わたしが行くわ!」
ぽんっと葵の頭に手を置いた園子は"蘭の言うこと聞くのよ?"と声を掛けコナンに続き部屋から出る。
最後まで残った安室はちらっと此方を見るとそのまま足を進め、ソファの下に膝をついた。
「横になろうか。まだ辛いんだろう?」
『…ちょっとだけ』
ゆっくりと体を横に倒す。それを見守り、くしゃりと撫でると"蘭さん、後はお願いします"と言って三人の後を追って行った。
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