第7章 伊豆へ!
「なぁ葵。安室さんポアロ辞めるとか言ってたか?」
『ん?…わかんない、けど聞いたことないよ?』
「そうか…。いつ帰ってきたんだ?」
『えっと、一昨日!』
逸らすことなく安室を捉えるコナンに心苦しくなるが、警戒する必要はないとも言えず口を噤む。
「ボール危ないから下がってて!」
『はーい』
「いや、危ないのはボールじゃなくて…」
「危ない!!」
くるりと向きを変えた葵がそれを捉えるのと安室の声が重なる。
気が付いた時にはコナンを突き飛ばしていた。
ガンッと響いた鋭い痛みと揺れる青を最後に意識を手放した。
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「葵ちゃん!」
「葵?!」
ぐったりと倒れ込んだ葵を蘭が抱き起こそうとするのを安室の必死な声が制止する。
「蘭さん!!動かさないでください!」
「っ!」
怒鳴るような声を気にする余裕もなく葵の側に駆け寄り後頭部を見る。
「出血は?!」
「いや、大丈夫だ。恐らく脳震盪だと思うよ」
はぁっと息を吐いたコナンの手がぐっと強く握られた。心配か後悔か、この場合両方だろう。
「君のせいじゃない」
「!」
僅かに揺れた青を横目にゆっくりと葵を仰向けにする。
「泊まる予定の別荘はこの近くですか?」
「うちの別荘なんですけど、少し距離があって」
「毛利先生、車は近くに?」
「ああ!すぐに取ってくる!」
走り出そうとする小五郎に野次馬を掻き分けた女性が青褪めた顔で待ったをかける。
「待ってください!ごめんなさい!その子に当たったラケット私のなんです!うちの別荘ならすぐそこですから、案内します!」
その言葉に頷き、葵を揺らさないよう慎重に抱き上げた。
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