第6章 日常…?
「今日は楽しかったかい?」
"昨日公園に行くってメールくれただろう?"と言う安室の声は、僅かに硬い気がする。
ここ数日、少しでも彼らの負担を減らせればと次の日に行く場所を安室に伝えていたので、それを元に先回りする者と公園まで葵を警護する者、最低でも二人の捜査官がいたと思う。
その両者からの報告を受けての電話だということは明らかなので、補足する為に口を開く。
『あのね、公園行ってないの。昴さんに一緒にお茶しませんか?って言われてカフェに行ってたの』
「昴さん?沖矢昴さんかな?」
『そう!蘭ちゃんの…彼氏?の家に住んでる大学生なんだって!』
訪れた沈黙に耳を澄ましていると、遠くからチッと舌打ちする音が聞こえた。
「そうか…。楽しかった?」
先程よりも更に低く苛立ちを抑え込むような声に、安室が沖矢を良く思っていないことが理解できた。
彼のそれは、沖矢昴へ向けたものなのか、それとも…。
"透くんと一緒の方が絶対楽しかった"と言えば、"…そうか"と少し照れたような声が返されて、ふふっと漏れそうな声に慌てて内頬を噛んだ。
「もう寝る時間だね。明日はどうするの?」
『明日はずっと家にいるけど、土曜日は公園にいくよ!』
「わかった。気を付けるんだよ?何かあったらすぐ電話すること。いいかい?」
『うん。わかった!』
「それじゃあ、おやすみ」
『おやすみ。透くん』
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