第6章 日常…?
「おや、葵ちゃん。こんにちは、一人ですか?」
『こんにちは!昴さん。一人だよ?これから公園に行くの!』
「そうですか。公園も良いですが、僕とお茶をするのもいいと思いませんか?明るいといっても一人でいるのは危険ですから」
『んー…、いいよ!公園は今度にする!』
「それはよかった。そこのカフェにしましょうか」
絶対に狙ってきたとしか思えないタイミングで沖矢と出会い、知り合いの誘いを断るのも変かと、これまた目と鼻の先にあるカフェへ彼に手を引かれながら向かう。
あのミステリートレインの次の日、いつの間にか帰っていた安室は風邪をひいて、移すといけないから治るまで帰れないと家を出た。冷蔵庫に大量の作りおきのおかずを残して…
まぁ、おそらく公安の仕事で警察庁に泊まっているのだろう。あそこには簡易的だが、シャワー室と仮眠室もある。葵の世界と中の構造が同じならの話しになるけれど。
その後、コナンと灰原から安室のことを聞かれたので、彼に言われたままを送ると間髪いれず彼女から電話がきた。ご飯はあるの?一人で大丈夫?うちに来てもいいのよ。という彼女に一つ一つ返事をしていく。ちなみに、この電話はそれから毎日続いている。恵まれているなと頬が緩んだ。
彼、沖矢昴はコナンに葵のことを聞いたのだろう。傍に安室透はいない、近づくなら今ということだ。
「さて、葵ちゃんは何にしますか?」
『んーと、オレンジシュース!』
「すみません。オレンジシュースとコーヒーを」
「かしこまりました」
席に着いてから沖矢昴について考えていたが、そもそも自分が彼の名前しか聞いていないことを思い出した。彼ばかり葵のことを知っているのはフェアじゃない…と言いたいところだが、彼の中身など一方的に知っているのでそれは構わない。とりあえず、沖矢昴がどういう人なのかを知りたかった。
『昴さんはなにしてる人なの?』
「あぁ、そうでした。まずは自己紹介から始めましょうか。僕は沖矢昴といいます。東都大学の学生ですよ」
『何歳なの?』
「27です」
27…普通に考えれば博士課程の院生か。
顔付きは理系っぽいけど、専攻はなんなんだろう…赤井さんの得意分野だったりするのだろうか?
コーヒーに口をつける彼を見ていれば、君の番ですよと声を掛けられ慌てて口を開く。
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