第5章 ミステリートレイン
神聖なものを思いだすかのように目を閉じる灰原を見て、こいつがやたらと葵に構う理由が彼女の白を守るためだとわかった。
確かに、葵から聞いた話ではベルモットは彼女を遠ざけようとしているようにも感じるが、だとすると同じ組織のバーボンに預けた理由がわからない…。
「なぁ、灰原。ベルモットが葵をバーボンに預けた訳…わかるか?」
「そうね…、組織と関係ないところに預けて、もしバレでもしたら彼女が他人の血で染まることになる。それを避けるためかしらね」
「なるほどな」
葵の白を守るために自分が見張ることのできるバーボンってわけか…そう考えると確かに辻褄は合うな。
「まぁ、とりあえずは大丈夫だろ。バーボンが葵を使うならもうしてるだろうし、すぐにベルモットにバレそうだしな」
「あの男が傍に居るってだけで気に食わないんだけど…まぁいいわ」
腕を組み、ジト目で睨み付けてくる灰原の葵に対する過保護っぷりはすごい、もはや保護者だ。モンスターペアレントだ。
葵になにかしようものなら、後ろに般若を背負った灰原を覚悟しなくてはならない…コナンにはまず無理だ。
といっても、バーボンはもう戻ってこないだろうから、今後葵と会えるかもわからないんだが、灰原のことだ。ちょくちょく泊まりに来させたりするんだろう…。
その予想が大きく外れていることを、この時のコナンはまだ知る由もなかった。
ミステリートレインfin.