第5章 ミステリートレイン
『ダメだよ!そんなことしたら透くんが!』
「安室さんが?」
『クリスに怒られちゃう…』
「「!?」」
「く、りすって…、おいっ!葵!そいつどんなやつだ!?男か!?女か!?」
『ひっ!な、なんで?』
「江戸川くん!ごめんなさい葵ちゃん。でも大事なことなの」
『…金色の長くてふわふわした髪に、緑の目の綺麗な女の人だよ』
「っ!どこであったの?」
『お母さんにバイバイって言われた後…。クリスが透くんにわたしを頼んだの。他のひとに預けちゃダメって言ってた』
誰にでもわかるほど瞳に恐怖を浮かべ、愕然とする二人に申し訳なく思うも、いつかはバレることなのだからと自分に言い聞かせる。
ベルモットが近づきやすい環境を作ってはいけない…、自分のせいで彼女が死ぬなんてあってはならないのだから。
「あとは?黒とか組織とか何か聞いてねぇか!?」
『……組織』
「聞いたの!?」
『組織に言うつもりはないって…でも、その後耳栓つけられたから…』
正しくはその前からつけていたが、このくらいはいいだろう。そして耳栓はウキウキでつけたのだけど、それは捨てておこう。
2人を視界から外し謝罪するも二人は既にそれぞれ思考の海に沈んでいて、聞こえてはいないようだ。
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