第5章 ミステリートレイン
「ええ!?毛利探偵事務所に送ったじゃと!?先週のキャンプの写真をか!?」
『写真って?』
「ああ。葵ちゃんは来れませんでしたからね。キャンプの時、女の人が火事からボク達を助けてくれたんです!だからお礼をしたくて…名探偵ならどこのだれかを調べられると思って」
『どんな人だったの?』
「ムービーありますよ!見ますか?」
『うん!見たい!』
博士のいる部屋で落ち着いた頃、探偵団の話で彼女の情報が漏れた原因がはっきりとした。
ムービーには、炎の中パスリングを付けたフードの女性が映っていて、余計なことをしてくれたと内心舌打ちをする。弟子であるバーボンにならば、パスワードを聞き出しパソコンを調べることなんて赤子の手を捻るより簡単なことの筈だ。
となると、あの帽子の男も黒の可能性が高い。最低でも二人、ここに組織の人間が乗っている。
安室は彼女を公安で保護するつもりなのだと思う。いや、思いたい。
だけど、あの男はきっと違う。あの目はそんな優しいものじゃなかったし、灰原哀と宮野志保がイコールであると確信しているようにも感じた。それにしては安室が灰原を気にする素振りがなかったのが気になるが…。でも、あのとき彼が見ていたのは確かに葵だけだった。
彼は知らされていないのか?いや、幹部に知らせないなんてそんなこと…。
ふと組織で幼児化のことを知っているのは、ベルモットだけだと言っていた友人を思い出す…ということは、あの男は…変装…?
『ありがとう!わたしトイレ行ってくるね!』
「1人で大丈夫?付いていこうか?」
『大丈夫!いってきまーす!』
蘭の言葉を軽く流して、部屋を出て駆け出した。
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