第5章 ミステリートレイン
「とりあえず、オメーらは蘭姉ちゃんたちと部屋に戻ってなよ!」
「えー、ボクたちも何か手伝いますよ!」
「余計なことはすんな!!オレが戻ってくるまで部屋に鍵かけて誰が訪ねてきても絶対開けるんじゃねーぞ!」
激しい剣幕で怒鳴るコナンの瞳には緊張や心配が多く含まれていて、何か大きなものが動くような、そんな気配がした。
コナンと世良に現場を任せ、部屋を後にした一行は指示通り子供たちの部屋に向かっていた。
「あっもしもし、お父さん?大変なの!8号車で人が殺されてるの!…え?わたし達は大丈夫。いいから早く行ってあげて!コナンくんと世良さんがいるから!」
『!…哀ちゃん?』
痛いほど強く葵の手を握る灰原は、すれ違う男性に酷く怯えている。
帽子を深く被っているが、目元と火傷の痕が特徴的な人でじっと灰原を見つめていた。
蘭が立ち止まったのを感じ視線を前に向けたとき、慣れ親しんだ姿が視界に入り目を見開いた。
「あれ?あなたも乗ってたんですね!安室さん!」
「ええ!ネットでうまく競り落とせたんで…さっき毛利先生ともお会いしましたよ!」
「誰?このイケメン」
「前に話したお父さんの弟子になりたいって探偵さん!葵ちゃんの保護者でもあるの!あっ!すみません安室さん、もしかして葵ちゃんと乗るはずだったんじゃ…」
「大丈夫ですよ!彼女も人数が多い方が楽しいでしょうから」
と、そこで彼の蒼が葵を捉えた。
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