第4章 新たなる
『んー…?』
のそのそといつもより動きづらい体を起こせば、くらりと目が回った。思考も鈍いのか頭がぼーっとする、体も重い…。
まるで三徹した後みたいだ。
時計を見ると針は8、今日は10時に待ち合わせだが、これは少し早めに準備した方が良さそうだ。きっと最近、あまり眠れてなかったのが原因だろう。
「おはよう。…?」
『とーるくん?』
取り敢えず顔を洗えば少しすっきりするだろうとリビングに出ると、笑顔でソファに座っていた安室がすっと表情を引き締め腰を上げた。
葵の前に膝をつくとその手が前髪を避け額に触れた。
『とーるくん、つめたい…』
「やっぱり…熱があるね。今日のキャンプはやめておこうか」
綺麗な少し太めの眉を寄せ、ひょいと葵を抱き上げてソファに下ろす。
少し待っててと断りの電話を入れて戻ってきた彼の手には体温計。20秒計測のやつだ。
「はい、腕上げて」
『んー…』
――ピピピッ
「38.0℃…高いな。葵ちゃん、病院行こうか」
『ぅん…』
額に冷えピタを貼り、上着を着せてもらい安室に抱えられ車で病院へ。
助手席でうつらうつらとするも、瞼を閉じると鮮明に浮かぶ男性の姿にはっと目を開く。
待ち合いでもそれは続き、薬を貰い病院を後にするも、その車内でも眠ることは出来なかった。
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