第4章 新たなる
話を戻した彼女たちが次に気にしたのは工藤新一の浮気について。髪ゴムや口紅のついたグラス、髪の毛と次々に物証(?)を見つける世良に、二人は顔を青くしたり赤くしたり忙しそうだ。
それはないよ。と口に出せたら楽なのに。
さっき彼女が二人に見せたのは母が捕まった記事かなにかだと思う。そのあとのものには恐らく葵は母のことを知らないらしい、悟られないようにしよう等といったものが書かれていたのではないかと推測する。安室が…降谷が見逃すはずがないので、いつかはこうなるとわかっていた。
「写真持ってきたけど...蘭姉ちゃん、この子どうしたの?」
『う!?』
驚きで変な声が出た口をバッと押さえ後ろを向くと、いつの間にそこに居たのだろう江戸川コナンの青とバッチリと合った。
「コナンくん!あ、この子は絢瀬葵ちゃん。遺体を見て震えてたから放っておけなくて…連れてきちゃった」
「絢瀬…ってもしかして「コナンくん」
申し訳なさそうに目尻を下げて笑う蘭にじっとこちらを見た彼はハッとし口を開くが、それを遮り画面を見せる世良に真剣に一つ頷き、笑顔で右手を差し出した。
「ボクは江戸川コナン。よろしくね!葵ちゃん!」
『コナン君だね!絢瀬葵です』
名字だけで意図も簡単に母に辿り着く探偵2人に、よろしくと彼の手を握ったが、きちんと笑えただろうか。
コナンが持ってきた写真と世良のスマホの写真を見比べてみると確かによく似ていた。だけど、10年前の文字は書いたというよりも滲んだという方がしっくりくる気がした。
「ホント…」
「そっくりだよ!この「死」ていう血文字…」
「じゃあ、まさか…」
確かに可能性はあると思う。でも、だとしたら何故10年も間をあけたのだろうか。横目でコナンを確認すると彼の瞳には確かに動揺が表れていた。
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