第4章 新たなる
「白目に黄疸が出来てるし…痩せてるのに腹がポッコリ出てる…これは腹水!肝臓が悪い証拠だよ!」
推理を披露するショートの彼女を横目に、葵は黒髪の彼女にしがみつく。
公安は本来、情報収集や視察が基本で、自分の最後の仕事もある宗教団体の違法行為の有無の確認だった。
まぁ、実際は船で銃の密輸をしていた組織だったが…。
そんな諜報活動を主としていた自分が、遺体に慣れる事などまず無い。
加えて今生の記憶力は凄まじく、一度見たものは忘れられない。二度の人生で何度目かの遺体に、先程まで震えが止まらなかった。
とんとん、と背中を優しく撫でる彼女の暖かさに体がほぐれた頃、警察が到着し彼女たちが知り合いだという高木と名乗る刑事に事情を説明する。
その後、彼女たちは10年前の事を調べに行くと言ったが、葵はこの温もりを離すのも、此処に置いてかれるのも嫌で、置いていかないでっ!とぎゅうっとしがみつけば、苦笑しつつ3人揃って連れていこうと提案した。
軽く彼女達と自己紹介をして、工藤新一からのメールに園子が茶々を入れたりしながら、蘭に手を引かれ新一の家だという豪邸の前に立つ。
「ここだろ?工藤新一くんの家…どーせなら入ってみようぜ?この家に住んでるっていう昴って人にも会ってみたいしな!」
そう言った世良にそういえば会ったことなかっけ?吃驚するほどのイケメンよ!と園子が続き、ぞろぞろと門をくぐった。
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