第4章 新たなる
ふんふん〜と上機嫌で散策を始めて細い道を歩いていると2人の男性の声が聞こえた。
「しっかりしろ高市!?」
「高市さん!?」
何だろう…随分焦った声だ。
近づくにつれ、座り込んだ男性に二人が呼び掛けているのがわかる。だが、少し様子がおかしい。
『どうかし……っ!?おじさん!?大丈夫!?』
慌てて咄嗟に頸動脈に触れるが男性はもう事切れており、ひやりとしたその冷たさにぞくりと体が震えた。
『ぉ、おじさん救急車と警察!っ早く!』
「あ、あぁ!」
救急車を呼ぶ男性を尻目にして震えながらもなるべく遺体から目を逸らしていると、三人の女子高生が此方に向かって走ってきた。
「ど、どうかしたんですか!?」
「コイツが仕事場に来ねぇから探してたら、こんな所でうずくまってて…」
そこまで聞いた時、急に目の前が暗くなりじんわりと温かさが広がった。
「大丈夫。怖かったね。もう大丈夫だからね」
黒髪の彼女が葵を覆うようにぎゅっと抱き締めていた。
この子は?と聞く声に、知らない子だ。俺達の後ろから来ちまってよ。と1人の男性が答えた。
「蘭くん、その子と少し下がっててくれるかい?」
「わ、わかった」
蘭、と呼ばれた子は葵を抱き上げるともう一人の彼女の側まで下がる。
「その子、大丈夫?」
「わかんない…すごい震えてて」
「そう。でも、わたしが来たからにはもう大丈夫よ!」
このくらい園子様に掛かればちょちょいのちょいよ!とウィンク付きで頭を撫でる彼女を見て、ふっと強ばった体から力が抜けた。
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