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【名探偵コナン】幼女になりました。

第3章 すたーと





葵を風呂に見送ったあと、珈琲を飲みながら彼女の様子を思い出す。

車内で安室に笑った彼女はこの上なく愛らしかった。ふわりとまるで花が咲くように、綻ぶように笑う葵を見て漸くベルモットが言っていたことを理解した。

彼女の笑顔は白い光だ。黒に身を置く安室透にはとても眩しく、白に身を置く降谷零にはとても温かく見えた。グレーの降谷でこれだ、黒のベルモットが堕ちるのも無理はない、と笑った。

車内会議で日常の決め事や、ベルモットのことはなるべく秘密にする事、そして、幼稚園には行かないという話もした。

これに関しては、降谷は話を聞いたときから決めていた。不用意に他の親子と接触して、葵の心に亀裂を入れることは避けたかった。元々通園していなかったようだからそこまで問題はないだろうと判断してのことだ。

会議終了後、彼女と手を繋ぎ、歯ブラシやパジャマに下着など百貨店で買うものを説明すると、葵は家に取りに帰ると訴えてきた。
この幼い少女に母親のことを忘れろと言うことは出来なかったが、自分を捨てた母親との思い出に縋って欲しくもなかった。
できる限り母親が選んだものと似た色や素材のものを選ばせてみたが葵が持ってくるのは白、黒、透明の質素なものばかりで、これ迄の彼女の生活を思うと胸が傷んだ。



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