第3章 すたーと
興奮気味に伝える葵に安心したと笑うと彼も食べ始め、暫くの間リビングには美味しい!透くん天才という声と笑う声が響いていた。
食後安室が入れてくれたホットミルクを飲みながら最大の難関をどうしようかと悩む。
「さてと、葵ちゃん。それ飲んだら一緒にお風呂入ろうか」
『…(いや無理)わたしもう5歳だよ?1人で入れるよ!』
タイミングいいなぁエスパーかな?なんて、吞気すぎる思考でこの重大任務に挑む。
葵を案じてくれている安室には申し訳ないが、ここは譲れない。精神年齢30を過ぎて異性、しかもイケメンと混浴なんて気がもたない。ここは彼に折れてもらうしかないと気合いを入れる。
「だけど、なにかあったら大変だろう?」
『いつも1人で入ってたから大丈夫!頭も身体も耳の裏だって綺麗に洗えるし、ちゃんと温まってから上がるよ?』
「…わかった。じゃあ、僕と3つ約束してくれるかな?」
暫く口元に手をやり考えていた安室をそわそわと待っていると、指を3本立てた彼がこちらを見つめるので、大きく頷く。
・浴室の鍵は閉めない。
・湯船で遊ばない。
・何かあったらすぐに呼ぶ
この約束を守ることを条件に何とか混浴は免れることができたので、買って貰ったばかりのパジャマ(猫耳フード)と下着を持ち、脱衣所へ続く扉を開けた。
.