第3章 すたーと
『ねぇ、透くん。透くんはなんのお仕事をしてるの?』
「ん?あぁそうだった、葵ちゃんにはまだ言ってなかったね。僕は探偵だよ。ポアロっていう喫茶店でアルバイトもしているけどね。」
眠りの小五郎って知ってるかな?彼の弟子をしてるんだ。
と手際よく野菜を炒めながらこちらをみて言う安室に、知ってるよ!すごいね!と答える。
もうバイトしてた。いやでも、探偵兼アルバイターがこんないいマンションに住んで、RX-7を乗り回すなんて…流石に無理があるのでは…?
彼の周りで気にしている人は居ないのだろうか?
安室透ってお金持ち設定とかなの?
安室透の背景に軽く思考を飛ばしていると、いつの間にか目の前に綺麗なオムライスとスープが存在していて目を瞬いた。
…あれ、さっきまで炒めてなかった?と前をみると、にこりと笑いながら対面する彼の前にも同じ黄色がある。視界に映る時計もそこまで経っていない。
この短時間でオムライス2つとスープまで作ったのか…え?凄くない?
驚きつついただきますと手をあわせてオムライスを一口食べる。その美味しさにん〜と頬に両手を当てた。
『すっごく美味しい!』
「ははっよかった」
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