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【名探偵コナン】幼女になりました。

第9章 兄と親バカと花見


『えへへ』

自分でも単純過ぎる自覚はあるが、目の前で同じように笑う彼がいるこの時間の尊さに、もう少しこのままでいいかもしれない…なんて思ったりしていた。


扉の前に置かれた大量の紙袋を目にするまでは…。



『…透くん』
「ん?」
『あれ…なに?』

先程まで第三者が見ればなんと微笑ましいのだろうと悶えるようなやり取りを繰り広げていた葵が指差した先にあったのは大量の紙袋…十はあるだろうか。良く見れば箱のようなものまである。

細い指先を目線で追った安室もそれを視界に入れ、"あぁ、あれか"と若干疲れを感じさせる声を出した。

「クリスのことは覚えてるかな?」
『覚えてるよ。わたしを助けてくれたお姉さんだもん!』
「そのクリスからのプレゼントだって」
『えっ!?』

ベルモットからだというそれに目を剥いたあと安室の腕から降りてその塊へ近づき、更に驚愕で口を開けた。

バー○リー、ディ○ール、アル○ーニ、モナ○サ……。

どれも子供服だが、ハイブランドだと分かる名ばかりが目に入り、その格式の高さに戦きピタリと足が止まった。
そんな葵の心情など露知らず、安室はまるで発条を回し終えたかのように動かない子供の後ろから脇に手を入れ抱き上げると塊付近で腰を下ろした。

胡座をかく安室の上に座らされた葵の左右から伸びる筋肉質の腕が次々に中身を暴いていき、あっという間に色彩豊かな服がずらりと眼前に並べられた。

子供にも分かりやすいようにフォーマル、カジュアルの説明を終えた安室は続いて銀杏マークが施された箱に手を掛けた。よく見れば同じ箱は2つあり、後ろには横長の紙袋も置かれている。

いつだったか灰原がこのロゴの入ったポーチが欲しいと雑誌を見つめ呟いていた姿が脳裏に浮かび、あぁこれはこの世界のブランドかと一人納得していると、安室の手によりその全貌が葵の前に晒された。





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