• テキストサイズ

【名探偵コナン】幼女になりました。

第9章 兄と親バカと花見


『(忘れたままでよかったのに…)』

近日中に満開の桜が見られると嬉しそうに告げるキャスターの声を聞きながら、葵はこの善意をどうするべきかと内心頭を抱えていた。


◇◇◇


事の始まりは1時間前。いつもの様に6人で集まり、今度花見に行かないかと誘うコナンの言葉に探偵団が顔を輝かせながら手を上に突き出した後に起きた。

「お花見って人が多いですよね?」
「まあ、そうだな」
「携帯も繋がりにくいかもしれません」
「どうしたの?光彦くん」
「思い出したんです」
『何を?』
「葵ちゃんに探偵バッジを渡していないことを!」

「「あー!!」」
『え″』

予想外の発言に固まる葵と、結果的に仲間外れにしてしまったことに落ち込む探偵団に慌てた灰原が、博士に作って貰おうと提案すると歩美が葵の手を引いて駆け出した。そのまま阿笠邸へ雪崩れ込んで頼み込む3人にやめてくれと言える人間がいるのなら是非ともお目にかかりたいものだ。
それに狼狽えながらも了承した博士に満足したのかキャラキャラと笑ってテレビをつけた子供達が桜を見てコナンに花見の詳細を聞き始めたのを眺め小さく溜息を吐いた。

そして冒頭に戻る。

あのバッジにはGPSが内臓されており、その周波数はコナンの眼鏡に表示される。因みに予備の眼鏡は灰原が良く使うらしい。つまり、2人に安室のセーフハウスを晒すことになってしまう。
現状、コナンと灰原は安室を敵、そして葵を守るべき友人に位置付けている。友人を守る為にGPSを起動したとしてもそれを葵に咎める権利も、資格もありはしない。

その危機から安室を確実に守るにはどうするべきかと考えるも自分には1つしか思い浮かばなかった。
その為にはコナンの、灰原の、そして博士の良心を利用するしかない…。

ぐっと拳を握り、隣の灰原を盗み見る。ずくりと痛む心には見ない振りをした。




.
/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp