• テキストサイズ

【名探偵コナン】幼女になりました。

第8章 決意


止まった浮遊感に恐る恐る目を開くと真っ先に見慣れた褐色が、次いで怒気を宿した蒼が目に入る。その気迫に目を泳がせ俯いた葵を下ろした安室はそのまま膝をついて肩を掴んだ。

「僕がどうして怒ってるか分かる?」
『危ないことした…から』
「危ないなんてものじゃない。あの速さで頭から落ちていたら…打ち所が悪ければ死んでいたかもしれないんだ!」

感情を押し殺したような声に徐々に殺しきれなかったそれが戻り、最後には声にも瞳にも悲痛を滲ませる彼にじわりと視界を涙が覆った。
子供に説教の途中で泣かれたらどうしてもその後が言いづらくなってしまう。それに子供じゃないのだから尚更泣くのは卑怯だと自分を律して零れないように必死に耐えたが、精神が肉体に引かれているのか既に瞬き一つで溢れてしまえる程だった。
それでも拳を握り込んで唇を噛み、揺らいで表情が見えない安室を真っ直ぐに見つめ、皆を守りたかったのだと震える声で紡いで説教の続きを待っていると肩に置かれた手でぐっと引き寄せられた。安室の肩に溢れんばかりの涙が染み込んで視界が晴れたとき、一度だけ聞いた少し低い声が耳元で小さく発せられた。

「…よくやった」

優しさが含まれるその声に晴れた視界が再び歪み始める。次は我慢など出来る筈もなかった。




.
/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp