第3章 ウラナイ
しかし数分すると君尋が慌てて居間に入ってきた。侑子はそれを見て、
「どうしたの?四月一日」
と、聞くと君尋は侑子の前に手を出した。そこには、月の模様が入っている蝶がいた。そして、
「この蝶から声が聞こえたんですよ!侑子さん何か知りませんか?」
と、聞くとおばあさんが
「君尋君、その子はなんてゆうとったんや?」
と、逆に聞いてきた。君尋はえーっとなどといいながら
「確か、“今、行くから待ってて”って。もしかして、さっきおばあさんが言っていた人ですか?」
と、おばあさんに言った。おばあさんは頷き、
「そうや。侑子ちゃんよろしくな。」
と、侑子に言った。侑子はゆっくりと立ち、雨が降り始めた庭に下りていった。おばあさんはそれを見て、君尋に
「君尋君、タオルをたくさん持ってきてほしいってモコナちゃんにゆうてきてくれる?」
と、頼んだ。