第3章 ウラナイ
“今、行くから待ってて”
〈あらあら、これは。君尋君にとって大事な人が来る ねぇ。なら、はよ準備せんとな。〉
「君尋君、料理もう1人分増やせる?」
おばあさんがふとそんなことを聞いてきた。
「できますけど、どうかしたんですか?」
君尋は首を傾げながら聞いた。
「大事な人が来るのよ。四月一日、あなたにとってのね。」
女の人-侑子が君尋に言った。君尋はよくわかっていないようできょとんとしていた。侑子はもう一度
「だから、あなたにとって、とても大事な人が来るのよ。」
と、言った。
「大事な人?」
しかし、君尋はまだ理解できていないようだ。すると今度はおばあさんが
「そうや。侑子ちゃんの言う通り。これから君尋君と深い縁で結ばれる子が。」
と。侑子の頷いていた。
「わかりましたよ。1人分でいいんですね。」
と、君尋は返事をして台所へと姿を消した。