第3章 ウラナイ
君尋は頷き、モコナがいるであろう台所へと行った。そして、居間に戻ってきたとき、突然キーンという音がし、空が歪み、1人の女の子が現れた。
「来たわね。」
と、侑子は雨の中出ていき、その子をそっと抱き上げ、居間に横たえた。
「四月一日、その子拭いてあげて。このままじゃ体が冷えるわ。」
侑子は少し暗い顔をしながら、君尋に言った。
〈まぁ、冷えるも何も彼女には必要ないのだけれど・・・。少しくらいは気休めになるでしょ。〉
君尋は慌てながら、でも優しく少女を拭いていった。
君尋がちょうど吹き終わった頃、おばあさんが口を開いた。
「さ、君尋君。この子が起きる前に早く温かいご飯を作って頂戴な。」
と。君尋は頷き、モコナを連れて少し急ぎ足で台所に戻った。