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Fortuna【ラッキードッグ1】

第6章 女神の軌跡(5)


「なに?聞こえない、もっと大きな声でいっ」

「だからっ、さっきは悪かったっつってんだよ!!何度も言わせんじゃねえ!!ファック!!」


カッツォ(くそ、馬鹿)、今度は大きすぎるよ。
耳痛い、頭にまで響いた気がする。


「さっきって……え、もしかしてヤろうとしたこと謝ってるの?」


話の流れからして、たぶんソレですよね。


「……慣れてると思ってたんだよ」

「それは…わたしがヤりまくりのビッチだと」

「そこまで言ってねぇ!」


似たようなモノでしょうが。

自分のしたことを後悔して焦っているのか、謝罪することを恥ずかしく屈辱的に思っているのか。
叫んだイヴァンの顔は赤く染まっている。

イヴァンって、打てば響くって感じに良いツッコみを入れてくれるなぁ。
しかし、どうしてそんな勘違いを…皆そんな風に思ってたりしないよね?
……いや………いやいやいや、そんなまさかねー。ないない!


「とにかく、誤解は解けたよね?…そろそろジャンも戻ってくるだろうし、今度こそ戻ります」

「最後にひとつ」


まだ何かあるの?疲れたんですけどー。


「なぁに?」

「お前とジャンの関係はなんだ」

「…女神と気に入られた人間、保護者と庇護下にある孤児、あとは……なんだろうね、まぁそんな感じ?」


あとは家族…と続けたいところだったけれど、ジャンが本当のところどう思っているのかわからないのに言い切ることは出来なかった。

本人に伝えれば案外あっさり答えてくれるかもしれない。
でもジャンは一度、わたしの存在を否定するように離れていた時期があるから…ちょっと怖くもあって今も深いことは何も聞けずにいる。


「…それだけか?トゥーナがアイツに固執してる理由ってのは」

「…それだけだよ。Good-night Ivan」


背を向けて軽い言葉を放り、後ろに手をヒラヒラさせるとそのままイヴァンの独房を後にした。


長居しすぎた、精神的疲労ハンパない。

あー…早くジャンに会いたい、ギュウッて抱きしめて、頭撫でて頬ずりして、くっついたままマッタリしたい。

………。

別にわたしは変態じゃない、と思いたい。


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