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Fortuna【ラッキードッグ1】

第6章 女神の軌跡(5)


そのままいつものように頬へキスをしようと顔を近づけ…唇が触れた。
頬、ではなく唇に。

ムニュッと。

やわらかい。

ジャンの……。


「……っ!!」


弾かれたようにジャンから離れ、口を手で押さえる。
そんなわたしを気にすることなく、ジャンは楽しそうに自分の下唇をチロ…となめて見せ。

覗いた舌の赤に、色を匂わせる仕草に、顔が熱くなった。


「あーぁ、もう終わりか」

「なんで動くの!?」

「コッチのが効果ある気がしねぇ?」


言っていることはわかるし、さながら間違いでもない……だけど。
なんでそんなに平然としてるの?

頬ならともかく、さっきのは保護者としてアウトなんじゃなかろうか。

アメリカなら有りなの?それにしたってジャンはもういい年して気持ち悪いとか思わな……いや逆かな。
わたしだから平気なのかもしれない、なにも感じないから、こんなにも普通の態度でいられるのかも。


「なんだ、そっか」

「どしたん?」

「ううん、なんでもないよ」


なんだか安心……うん、安心した。
これからもきっと、多少のことではジャンとわたしの関係は変わらない。


「いい情報があるといいね」

「あぁ、それなら心配いらねーよ。フォルトゥーナの唇も頂いたしな」

「間違ってないけど、なんか言い方が……まぁいいや」

「トゥーナも、実体化してんだから気をつけろよ?あー、イロイロと」

「そうだね。変に目をつけられて計画に支障が出ないよう気をつける」


そう言って頷けば、頭を撫でてくれる筈の手が途中でピタと止まり。
ジャンが表現しようのない、絶妙に微妙な顔をした。

なんですかその顔、ほんとビミョー…。


◇ ◇ ◇


――はい、こちら現場のトゥーナです。

只今イヴァンの独房前にて張り込み中……否、どう声をかけようか思案中だったりします。
だーって今日おもいっきり背中蹴っちゃったし?からかっちゃったし?絶っ対!睨んでくると思うし?

ぶっちゃけ1人で会いたくありません。
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