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Fortuna【ラッキードッグ1】

第5章 ×3章の後半ボツ話×


元々まっすぐでサラサラとした金髪はそれだけで本来の輝きをほぼ取り戻し、ようやく目の前まで来てわたしの頭を撫でたジャンの指先を優しく受け入れた。


「なーにやってんの、トゥーナさん。大丈夫け?」

「ジャン…ごめんね。タイミングの神様が仕事ミスっちゃって」

「なんだそりゃ」


どんなミスだよ。そう笑って言ったジャンの首に抱きついた。
およそ半日ぶりなジャンの感触や匂いに安心する。
ただ、そろそろ本気でお風呂に強制連行しないといけない。正直、臭う。


……今度シャワー使えるのいつかな?


いつもなら抱きしめ返してくれるジャンも、さすがにこの状況ではやりづらいらしい。
代わりにわたしの背中を優しくポンポンと叩いてくれた。

気持ちも落ちついてきたところで、またもや視線がこちらに突き刺さっていることに気づきジャンの首から腕を離す。
ここまできて彼らを無視するとジャンが困るだろうと判断し、ジャンの背後霊よろしくくっついたまま自己紹介することにした。


「…トゥーナです。ジャンの為なら手を貸すけど、ジャン以外の言うことは聞きませんのでよろしく」

「ファック!ナメてんのかお前っ」

「カーヴォロ(クソッタレ)…なめてません。あとわたし、ジャンより年上だから」

「ァあ!?ファック!やんのかコラ、女みたいな喋り方しやがって…シット!」


実際女神だから女なワケで、喋り方にケチつけられてもどうしようもない…というかどうもしない。
ファックシットとお口の悪いイヴァンは放置した。

よくよく考えると25歳プラスアルファだから中身で言えば、もしかしたらこの中でわたしが最年長かもしれない。
ベルナルドとルキーノの歳は知らないし、わたしの精神年齢はさほど高くはないけれど。


「ジャン、今のは本当か?お前より年上って」

「あー、ウン」

「わたしが怪しいのは充分わかってますけど、いちいちジャンに聞くのやめてくれないかな?ベルナルド」

「俺の名前を知っているとは光栄だな」


ちっとも光栄じゃない嘘っぽい笑顔を張りつけたベルナルドが、これからよろしく…と続ける。
よろしくしたくない気持ちを表情に出しながらも、ジャンの顔を立てる為に小さく返事をしておいた。
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