第5章 ×3章の後半ボツ話×
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堂々と姿を見せながら走り回れるなんて、いつぶりだろうか。
『…きみのことジャッン、ジャッンにしーてやんよー』
あ、ダメ駄目。ジャンでいっぱいにしちゃったら駄目だよ危険。
『ジャーンー、ジャーンー、ナイトフィーバー』
夜にフィーバーさせちゃダメ!
『…アナタが望む〜のな〜らば〜、犬のよう〜に従順〜に〜●●に▲▲に×××に〜縛られてアゲマショ〜』
……どうしよう、フラグしか立たない!!
嫌な予感に頭を抱え、叫びたくなりながら先を急ぐ。
ジャンの居るところまであともう少し、というところで思わぬ邪魔が入った。
「悪いが、この先は今使用中だ。戻んな」
ワーオ、なにこの強面おにーさん。
いかにも堅気ではない雰囲気の男が数人、見張りのように一ヶ所しかない通路の出入り口を塞いでいる。
ように…ではなく見張っているのか、使用中だと言ったから人に知られてはマズいことがこの先にあるのだろう。
ーーって、ジャンそこに居るんですけど!?
「どいて!」
「あっ、待てっ…」
背を向けて出来た一瞬の隙をついて、男の横を通り抜ける。
すぐさま反応した男がわたしの腕を掴もうと手を伸ばすが、踏み出した足を滑らせ派手に地面へ転がった。
そこには無惨に踏まれた跡のついた……なんで気づかなかったのかは分からないけれど……まだ乾いてなさそうな大量のウ〇チ。
「ぷっ…アンラッキー」
ある意味ウンはついたけど。
ごめんね?幸運の女神は、ジャン以外につかまる気はないの。
また騒ぎだした男たちを振り向きもせず、ジャンの元へと走った。
囚人たちの声が聞こえた先程までとは違い、あまりの静けさに背筋がゾッとする。
もし、こんなところで襲われでもしていたら…!
「大丈夫だよねっ…」
道を曲がったりして走った先にあった金網を視界に映し、その向こう側に必死で探していた姿を見つけて叫ぶように名前を呼んだ。
「ジャン!!」
すると、わたしの姿を捉えたジャンが驚きに目を見開き思わずといったように呼び名を呟く。
「…トゥーナ?」
その声に反応した四人の男がジャンに視線を飛ばしてから、わたしを不審げに睨みつけてきた。
すでに用は済んで戻るところだったのかもしれない。