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Fortuna【ラッキードッグ1】

第3章 女神の軌跡(3)


……ちょっと怪しすぎるかな。
ボサ髪でうつむくだけにしとこう、お化け感が出ちゃう。

着替えてみたはいいけどこの囚人服、少し大きい。
今の身長はジャンくらいある筈なんだけど、体が細いせいかな…肩からズレ落ちてくる。
ジャンもあれで腰は細いけど、なかなか良い筋肉質の引き締まった体つきしてるからね。
…ん?でもジャンもよく左肩が出てるよね。そういう仕様なの?

袖の長さやズボン丈はよさそうだ。よし、変装完了!
これならどこからどう見ても、根暗な感じのひょろい囚人でしょ。

動く前に念のため、もう一度ジャンの居場所を確かめる。
すれ違いになったら二度手間だしね。


『あれ?移動してる…なんでそんな…』


人気のないところに?


『……え、ちょっと待って。いやほんとに待って』


そばにベルナルドの気配もするんですけど。
あ、ベルナルドには昔ジャンを助けるために姿を見せて女神の祝福――頬にキス――したから気配がわかるようになったんだよね。


『まぁ、でも、あの二人ならプライベートな話とかマフィアの話とか色々…』


………まさか、もう?

幹部たちが揃って刑務所にいるってことはやっぱりあのゲームと酷似した未来があるかもしれないってことで。
だからこうやってお手伝いしやすいよう準備までしてたワケだし、ただ脱獄関係の話を持ち出されたとしても今すぐジャンの身に危険があるとは限らないからまだ焦ることはな……いや待って。


「それって、ゲームだったら…だよね」


――違う。違う、違う、間違えた!

この世界がゲームとは違うんだって理解してるつもりだった。
でも結局のところ、根本的にゲーム知識から抜け出せてないじゃない。
今のジャンを取り巻くすべてに関して絶対的な安全なんて、保証なんてどこにもないんだ。


「あー…もうっ」


ほんとバカだ、気づくの遅すぎる。
とにかくジャンのところに行こうと、周りの視線もかまわず走り出した。

はいはい、ごめんね通りますよー。
たまに他の囚人にぶつかりそうになりつつ、ギリギリで避けて走り続ける。

運動場の横を通って横道に入り、さらに人気のないその先へ進むと思わぬ邪魔が入った。


「悪いが、この先は使用中だ。戻んな」


いかにも堅気じゃありませんといった雰囲気の男が数人。
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