• テキストサイズ

Fortuna【ラッキードッグ1】

第3章 女神の軌跡(3)


鉄格子の向こう側に見えるのは一人の囚人。


「無視すんじゃねぇ!」

「ふぁあ〜」

『…ジャン、あくびのフリ下手だね』


短めの無造作ヘア?髪型の形容がよくわからないけどグレーの髪、目つきの悪いモスグレーの瞳。

身長はジャンくらいで見るからに若くて。
上はちょっと変でかわいい犬がプリントされたタンクトップ一枚だから、右腕のタトゥーがはっきりと見える。

名前はイヴァン……んー、なんだっけ?ジャンに教えてもらったけど、もう忘れちゃった。
まぁ、ファーストネームがわかればいいか。
とりあえずCR:5の幹部の一人。たしか最年少。

それにしても…また来たの?きみも飽きずによくやるよね。

なにが気に入らないのか知らないしどうでもいいけど、ジャンを見かけるたびに絡んでくるんだよね。
本当にやめてほしい。
まだ暴力沙汰にはなってないから今のところ放置してるけど。

このこも……うん、見たことある。
スチルでジャンにエロいことしてたわ。
もし、本当に幹部連中みんなで脱獄…なんてことになったりしたら、常に警戒しておかなきゃいけない。


『…ワオ。ストレスで前髪ハゲそう』


人が掴むチャンスがなくなっちゃう…後ろ髪あれば大丈夫か。
って、ちょっとソコ!なにしてるの!?

センセー、イヴァンくんがやりましたー。
ジャンの服をイヴァンが掴み、力任せにベッドから引き落とした。


『ストロンツォ(くそったれ)。…ジャン大丈夫?』


イヴァンに罵倒語を投げつけ、仰向けに倒れこんだジャンの傍にしゃがんで顔を覗けば、声を出さない唇が小さく「ダイジョブ」と告げてホッとする。


『痛いの痛いのイヴァンにとんでけー』


そう言ってジャンの頭を撫でれば、おかしいのを我慢しているのか唇がもにょもにょ動いている。かわいい…。
状況も忘れてついほのぼのとした気分になっていると、上から第三者の軽い言葉が降ってきた。


「おはようジャン、朝飯行こうぜ」

「あれ?早いな」


緩やかなクセのついた肩下まであるグリーンの髪、眼鏡の奥の一見穏やかなアップルグリーンの瞳、まくられた袖から伸びる左手首にはCR:5のタトゥー。

名前はベルナルド……えーっと、ベルナルド…うん。
ジャンがCR:5に入ったばかりの頃、相棒として一緒に仕事をした人物。
/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp