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Fortuna【ラッキードッグ1】

第3章 女神の軌跡(3)


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イタリア系マフィアCR:5の幹部が次々と逮捕され、ジャンとわたしのいるこの刑務所にブチ込まれた。

そのせいで、すっかり忘れていたジャンが主人公なゲームのことを思い出し。
わたしは落ちつかない気持ちで、番犬のようにジャンの傍を離れない日々を送っていた。


『ジャン起きてー、朝ですよー。起きないと、もうすぐジョシュアが来ちゃうよー』

「……ジョシュアだったら、まだ、だいじょぶ…」


声をかけてもジャンはなかなか起きようとしない。
……しょうがないなぁ。
リングから出てベッドの端に腰かけると、ジャンの体を両手でゆっさゆっさ揺らす。


『なにが大丈夫なの?早く起ーきーてぇー……あ、もう来ちゃったじゃない…!』


起床合図の音と共に刑務官たちの足音が聞こえてきた。
囚人を確認する声が遠くから1、2、3……そろそろ来るかな?もう起きないジャンは放っとこう。
地面から少し浮いたまま、独房の鉄格子をすり抜ける。


『ジョシュアおはよう、今日も爽やかイケメンですね』


目の前で立ち止まった一人の若い刑務官に向かって、ニッコリ笑いかける。

もちろん彼にわたしの姿は見えてないし声も聞こえない。
挨拶するたびにスルーされてちょっぴり切ない気分になるけど、いちいち気にしてたら女神なんてやってられない。

ジョシュアが独房の鍵を開けながらジャンの名前を呼んでいるのに、当の本人は気にせずベッドの上でゴロゴロしている。
こんな子でごめんなさい……思わず心の中で謝ってしまう。


「ん〜、女神のネーチャンが離してくんねぇ」

「起きろ!ジャンカルロブルボンデルう゛ぉんっ…!」


あ、ジョシュアが噛んだ。

かーわーいーいー。ジャンも軽く吹いたし、朝から和ませてくれるなぁ。
関わる看守がいつもジョシュアだったらいいのに…………過労死しちゃうか。
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