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Fortuna【ラッキードッグ1】

第2章 女神の軌跡(2)Gian side


なんだそりゃ…俺を見ながら、なんかエロいことでも考えてたのけ?

ここがムショの中じゃなければそう返して、笑いながら華奢な体を抱きしめ、ただのスキンシップとごまかしてキスの雨を降らせてやるのに。

想像して悶々とした気分になった俺は考えるのをやめて、不自然にならないよう気をつけながらトゥーナを避けて鉄板のベッドに寝転がった。
すぐ傍にいるトゥーナの手を軽く握ると指を動かし、スベスベした滑らかな肌の手触りに意識を集中する。

きンもちいー…。

なにも言わないトゥーナをいいことに、作業がはじまるまでの間ずっとヒマ潰しにその感触を楽しんでいた。


◇ ◇ ◇


寒い。超寒い。

今朝も寝息のかかった毛布が凍り付いていた。
明日の朝もきっとそうなるに違いない。
なんとか少しでも暖をとれないものか……固いベッドの上で手足を縮めて丸くなってみるが、やはり寒いものは寒い。

だいたい2月の夜に毛布一枚とかフザけてんだろ。
いつか凍死するヤツが出てもおかしくねーぞ。
こうなったら最後の手段と、リングの中で休んでいるトゥーナを小さな声で呼ぶ。


『なぁに、ジャン。早く寝ないと朝がキツイよ?』

「寒すぎて眠れねー……トゥーナ、添い寝してくんね?」

『ええー…お誘いは嬉しいけど、ココで実体化したら寒いじゃない』

「俺が凍えるのはいいのかい?」

『よくはないけど…』

「つーかさ、わざわざ実体化しなくてもよくね?俺は普段のトゥーナにも触れんだしさ」


ーー…少しの沈黙の後。
かぶっていた毛布が少し持ち上がり、俺と向かい合うような体勢で横に寝転ぶトゥーナの姿が現れた。


『全く思いつかなかった。……ジャンあったまいー』

「まかせなさい。…まァ、俺も今の今までウッカリしてたんだけどネ。考えもしなかったわ」


手を伸ばしてトゥーナの体を引き寄せると、隙間ができないくらいにピッタリとくっつく。
両腕を背中に回して抱きしめ、互いの足と足を絡めれば、ジワジワ伝わってくる体温にホッとして余分な力が抜ける。


「あー……あったけー…」

『もっと早く気づけばよかったねー』

「ソだね」
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