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【文スト】対黒・陰

第10章 終局


コンテナが多く積まれた港―――

そこには数人が集まっていた。



「太宰さん」



傷だらけの身体を無理矢理起こし、包帯で覆われた男に向かって話し掛ける人物が一人―――芥川だった。


「最早、邪魔する者は無い。今日こそ……僕の力を」

よろめきながら包帯男、太宰の方へ歩み寄る。

「如何かな もう限界だろう?組合の長を倒したんだから」

そう云ってスッと手を伸ばし


「強くなったね」


ぽん、と。
労うように肩を叩いて声を掛けた。


芥川は一瞬、固まってドサッと倒れ込んだ。

「ありゃ」

そう笑いながら太宰が云ったと同時に。
武装探偵社の調査員が全員集い、事態は終息を迎えた。



死闘の末、勝利をもぎ取った敦を迎える探偵社員。



笑顔が溢れる場に芥川の迎えに来ていたようである広津もフッと笑う。


そんな時だった。



パチパチパチパチ………



「「「「!」」」」



何処からか拍手が聴こえてきたのだ。




その場にいた一同が一斉に其方の方を向く。



和やかだった筈の空間に現れたのは一人の女性。



「いやーお見事でした。流石は武装探偵社の皆様だ」


「「っ!?」」


満面の笑みでそう告げる女性の登場に、とある二人の顔が驚愕に満ちたモノに変化する。

「お陰で街に安息が戻った。何時も通りに生活できます」

「……貴君は?」


一番近くにいた社長である福沢が女の方を向いた。


「あ、そうだった。挨拶もそこそこに申し訳無い。私は太宰。貴社でお世話になっている太宰の妹です」

「「「「「!」」」」」


探偵社の社員が一斉に太宰と、太宰と名乗った女を見比べ始める。

「妹さん、ですか。確かに太宰さんにそっくりですね………太宰さん?」

「……。」

一番近くにいた敦が代表のように太宰に話し掛ける。
が、太宰の様子が可笑しいのだ。

今まで見たことの無い表情をしていた。

そして突然、ハッとして。
慌てて社長の元へ駆け寄って行く太宰。


「兄を宜しくお願いします」

「うむ」



丁度、挨拶を済ませて握手を交わすところだった。

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