第10章 終局
車を走らせること数十分―――
紬は海の見える場所まで来ていた。
「此処で降ろして」
「はっ!」
運転手の男は指示された瞬間に車を寄せて停車させる。
「君は戻って善いよ」
「しかし、帰りは如何致しますか?」
「んー……車は数台出払っていたようだから何れかに乗るスペースくらいあるでしょ」
ヒラヒラと手を振って既に歩き出した紬に会釈して男は車に乗り込み、来た道を引き返して行った。
「先日の報告では虎の少年が空から降ってきたと云っていたが―――…………!」
そう呟きながら空を見上げた。
ドォオオォオオン……!!!!!
白い塊が空から海へと落下してきた。
「アレか」
紬はその周辺を確認し始める。
「「「!」」」
そして、直ぐに目的に近付くモノを発見した。
そのモノ達が紬に気付き、身構える。
「おや。出会い頭に随分な挨拶だ」
「っ!太宰幹部!!!」
慌てて構えを解き、膝を折った。
「広津さんは?」
「………彼方の方へ。我々は待機しておくようにと………」
「そう」
紬はそれだけ言葉を交わすと連中に構わずに示された方へ向かった。