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【文スト】対黒・陰

第9章 絶句


紬と中也は執務室へ向かって歩いていた。


「浮かない顔だなァおい。如何した?真逆、死体袋の数みて反省でもしたかァ?」

「本気で聞いてるの?それ」

「ンな訳無ェだろ。だから理由訊いてンだよ」


帽子の位置を整えながら中也は右隣にいる紬を見る。


「中也」

「……んだよ」


反して、紬の視線は前方を向いていて動かない。
そのまま中也に話しかけた。

「もうすぐ首領から急な任を言い渡される。あくまで予言だけど」

「!」

ピクッと反応する。
森は先刻、受け取った封筒に書かれた場所へ部下を引き連れて向かったばかりだった。

「そうなったら私は絶対に行かないから。中也が行ってきて」

「……それが手前が沈んでる理由か?」

「うん」

「……。」

嘘は云ってねェな…。

長年、連れ添っているからか。
紬の返事を真だと解し、溜め息を着く。

「判ったよ」

「!」

ピタッと足を止めて漸く中也の方をみやる紬。

「……やけにあっさり承諾するね。いいの?私が嫌だと云うほどだ。碌なことないよ?」

「だろうな。でも行きたか無ェんだろ?貸しにしといてやる」

「……。」

紬は目を閉じて中也の右肩にコツンと額を乗せる。


「気色悪ィ!ホントに何なんだよおい!?」

「……………………………もうやだ………」

「!」


ぽつり。
消え入りそうな程に小さな声で紡がれた言葉に中也が何かを察した。
今仕方みせた反応とは打って変わって紬の頭を優しく撫でてやる。



「だから程々にしとけって云っただろうが」



「……。」


呆れながら云う中也に、紬は答えなかった。
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