第9章 絶句
マフィア本部ロビー
黒の袋に包まれたモノが綺麗に整列してある。
そんな場所に首領である森と、幹部である中也。
それに紬も来ていた。
「被害総数は?」
「直轄構成員が十八 傘下組織を含めると百近い死者が出ています」
「……。」
脱帽して首領に報告する中也。
紬は何をするわけでもなく、只、中也の隣に立っていた。
「癪ですが……太宰の木偶が詛いを無効化してなければこの十倍は被害が出ていたかと」
「首領として先代に面目が立たないねぇ」
苦笑しながら森がそういった瞬間に『ウィン』と音を立てて自動扉が開いた。
現れたのは……
「おや紅葉君!」
探偵社に捕虜として拉致されていた尾崎紅葉だった。
「太宰の奴に探偵社を追い出されましてのう」
差していた傘を閉じて懐に手を入れながらのんびりと話す紅葉。
「役立たずの捕虜を置いても世話代が嵩むからと宿泊費代わりに伝達人の使い番まで押しつけられたわ」
スッと取り出したのは封筒だ。
「探偵社の社長から茶会の誘いだそうじゃ」
渡された封筒を受け取って森はフッと笑った。
「……成る程そう来たか」