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【文スト】対黒・陰

第8章 因果


「アンタの手足を削ぎ落としてから何を企んでるかはかせるってのはどうだい」

持っていた鉈を構えながら与謝野が中也に云った。


「そりゃ凄え名案だ、やってみろよ」


嬉しそうに返す中也。

「賢治!」

「はーい」

与謝野の合図で憲治が列車のレールを剥がしてふりまわした。


「矢っ張り伝言人は性に合わねえ 仕事はこうじゃねえとなァ」


「気を付けて下さーい!」


ゴッ!

そのレールを中也に目掛けて投げ付けた。


壁に刺さったレール。
その上に何事もなかったかのように立っている。

「おおー」

感心する賢治にニッと笑って、レールを伝って向かっていく。
余裕なのか、手はポケットに入れたままだ。

ガッ!

賢治に蹴りを繰り出す。
ガードしたものの賢治は壁にめり込む程の勢いで、吹っ飛んだ。

「!」

その蹴りの後、着地した瞬間を狙って背後から与謝野が攻撃に出る。

ざっと跳んで回避し、


「「!」」


『天井』に着地した。



「その異能……『重力遣い』の中原中也だね」


与謝野が云った。

「ち……太宰の兵六玉が喋ったか」

パンパンと服装を整える中也。


「太宰が其程警戒してんなら期待に応えねえとなァ」

「!」


フッと。

天井から降りてくる中也。


何かを察したのか。
与謝野は慌てて飛び退ける。


ボッ!


中也を中心に抉れた地面。


「さァ「重力」と戦いてえのは何方だ?」


流石に、与謝野も驚愕する。


そんな時だ。

『答えよ、ポートマフィアの特使』

『任務内容が違うんじゃない中也?』

「!」


今までのやり取りを黙って観ていただろう武装探偵社の社長、福沢とポケットに仕舞っていた通信機から現れた声のタイミングが重なった。


チッ…見てないくせに全部把握してやがんのかよ、アイツは!


敵社長と同じタイミングで声を掛けてくるとなると、これ以上の「戦闘」を止めろ、と云う事だろう。



中也は大人しく声のしたカメラの方へ近寄った。
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