第7章 現状
ところ変わって武装探偵社―――
はて?
此処は何処じゃったか。
確か――………
思考が結論を出す前に、視界に入る人物。
「やあ姐さん、ご無沙汰」
爽やかに挨拶したのは『日頃、見馴れている』も、懐かしの人物―――太宰だ。
「……この程度の縛めで私を紮げられると思うたか。」
姐さん……こと、尾崎紅葉は横になった状態で拘束されていた。
「真逆。だから私が見張りに」
ニッコリ笑いながら返答する。
「確かに久しいのう、裏切者よ。組織の誰もが其方の首を狙っておるぞ」
「ははっ。行列に並ぶよう云わないと」
軽いノリで話す太宰とは正反対に、二人のやり取りを壁に寄り掛かりながら険しい顔をして聞いているもう一人の探偵社社員、敦。
紅葉その敦の方を見る。
「……童。鏡花は無事かえ」
「彼女は……行方知れずだ」
その質問に律儀に返答し、
「貴女の所為だ」
すごい剣幕で紅葉に云い放つ。
「くく……くくく。くくく……」
敦の返答に笑い出す紅葉。
その行為が敦の逆鱗に触れた
「何が可笑しい!」
敦の怒りに呼応する様に、振り上げた腕が虎のモノに変化した。
今にも襲わんばかりの敦の右腕を太宰が掴む。
「!」
虎化した腕が元に戻った。
「彼女は私に任せ給え。君は外に」
太宰が片手をヒラリとして敦に告げる。
「太宰さん!」
「善いから」
ニッコリ笑いながら抗議しようとした敦の肩を掴んで進行方向を紅葉から入り口扉の方に変えた。
敦は部屋の方をもう一度だけみると
バタンッ
大人しく退室していった。
「却説、早速で悪いけれど開戦までもう間がない。そして捕虜には大事な仕事が在るよね?マフィアの戦況、今後の作戦を教えて貰おうかな。」
太宰が本題に触れた。
「マフィアの掟を忘れたかえ、坊主?江戸雀は最初に死ぬ」
ハッと鼻で笑って答え、顔を背ける紅葉。
「姐さんの部下に拷問専門の班が在ったよね」
想像はついていたであろうが溜め息をついた太宰は扉の方へ歩いていく。